今回はペアリングの方法についてです。
飼育下での交尾には、
- 虫の自然な行動に任せる方法
- 人が介入して交尾を促す方法
それぞれ、「同居ペアリング」、「ハンドペアリング」などと呼ばれています。
私は、これらの方法を使い分けていますので、それぞれについてご紹介します。
同居ペアリング
この方法は、交尾がなかなか成功せず、交尾完了までの時間が限られている種に対してよく適用されます。
また、国産のオオクワやコクワの仲間は、警戒心が強い個体が多く、人前での交配には敏感です。
性格も穏やかなので、ハンドペアリングは必要ありません。
基本的に、オスとメスを一緒に飼育すると夜間に交配が行われることがあります。
一般的には、「虫の本能に従う方法」と呼ばれます。
同居ペアリングのやり方
成熟した親♂と親♀を交尾時期になると、比較的狭い同じケース内に一定期間一緒に同居させて交尾するのを待つ方法です。
メリット
基本的に交尾時期を迎えた熟成した親♂と親♀を、比較的狭い飼育ケースに入れて待つだけなので、手間はいりません
ペアリングが容易に出来ます。
デメリット
交尾の瞬間を直接目にすることが難しいため、交尾の成立を確認できないことがよくあります。
また、同居することで、相性が合わない場合には片方の親(主に♀)が攻撃されることがあり、交尾成立まで見守る必要があるため時間がかかります。
ハンドペアリングに比べると手間や時間は少ないですが、交尾の成立を確認できないことや、同居中に♂♀の喧嘩が起こる可能性などのデメリットもあります。
自然界ではハンドペアリングは行われないため、飼育下では管理が必要で、最悪の場合、♀殺しが発生することもあります。
ハンドペアリング
ハンドペアリングは「人が交尾を補助する方法」であり、一般的に大型のカブトムシ種で広く利用されています。
特に、ニジイロやギラファ、オウゴンオニなど体高のある種に対しては成功率が高い傾向があります。
しかし、体高が低いクワガタ(例えばオオクワやヒラタ)でも、適切な方法で行えば成功することがあります。
ハンドペアリングの魅力は、交尾成功を確実に目の前で確認できることです。
ハンドペアリングのやり方
交尾時期を迎えた成熟した♀の背中に、後ろからそっと♂を乗せます。
一般的には、背中の小循環板からフェロモンが放出されると言われていますが、個人差があるため、私の場合は♂の口ひげ周辺を♀の小循環板の近くに置くようにしています。
そうすると♂は♀のフェロモンを嗅いで触覚を動かし始めて交尾を開始するでしょう。
メリット
確実に交尾成立を確認できます。
成功すれば迅速に完了します。
※交尾時間が長い場合もあります。
デメリット
手作業で直接促すのに手間がかかります。
特にヒラタクワガタやオオクワガタなどの体高の低い種では、♀の上に♂を乗せると、♂が♀をなかなか掴みにくいことがよくあります。
そのため、後ろからではなく、♂と♀を十字の形に配置すると成功率が高まります。
交尾方法 〜同居ペアリング〜
同居ペアリングに必要なもの
飼育ケース クリアスライダー小、コバエシャッターミニくらいの大きさが最適です。
大きなケースになると♂と♀が交尾する可能性が低くなるのでケースの大きさには注意しましょう。
私はクリアスライダーで対応しています。
積み重ねれて飼育スペースが綺麗に収まります
マット ペアリングさすには、発酵マット、ココマット、水苔どれでもいいでしょう。家にあるもので対応できます。
発酵マットでする時は転倒防止の木を入れる方がいいでしょう。
私はペアリングする時はココマットで対応します。
ペアリングのセットを組む時はマット等を薄めにしましょう。
沢山入れ過ぎると♀が隠れて交尾しない事があります。
エサ 高タンパクのゼリーがオススメです。
交尾して産卵するのに体力を使うので栄養価の高いエサを与えましょう。
同居ペアリングのセットの実例
①クリアスライダーにココマットを底面が見えなくなるくらい入れます。
②霧吹きで加水します。
③ゼリーを2個程入れます。
④♂と♀を入れます。(オオクワガタは大人しいので顎縛りは不要。ヒラタクワガタ等の気性の荒い個体は顎縛りし♂が♀を挟んで殺すのを防止する事をオススメします。
⑤フタをしめて1週間程経てば交尾をしていると思うので、♀だけを産卵セットに入れましょう。
交尾方法 〜ハンドペアリング〜
ハンドペアリングに必要なもの
足場 産卵木、発泡スチロール、鉢底ネット等滑らない素材なら何でも大丈夫です。
ハンドペアリング実践
産卵木等の滑らないモノの上に♀を乗せます。
その後に♂を覆い被せる様にして♀の上に乗せます。
交尾するのを待ちましょう。
交尾開始する時にはオスの生殖器が出てきます。
交尾が成功しない要因として、オスが興味を示さない場合や、メスが逃げたり嫌がったりすることが挙げられます。
そのような場合は、数時間後や数日後に再度挑戦し、様子を見ながら行うことがおすすめです。
交尾が完了したら、産卵用のセットを組み立てて、メスをそこに入れてください。
交尾時間は?
交尾にかかる時間は一般的に30分程度ですが、個体によって大きく異なります。
数分で終わることもあれば、数時間かかることもあり、稀には数日かかることもあります。
まとめ
今回は、ペアリングの方法について、「同居ペアリング」と「ハンドペアリング」について記事を書きました。
ハンドペアリングに挑戦してオオクワガタのブリードを楽しみましょう
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